東京シューレは1985年6月、北区東十条の狭い雑居ビルの一室で、学校外の子どもの居場所、学び・交流の場としてスタートしました。
開設のきっかけとなったのは登校拒否を考える会の活動でした。
奥地圭子は、自分の子どもの登校拒否の経験から、親の学びあい、支え合いの必要性を感じました。そして、仲間によびかけ1984年に登校拒否を考える会をスタートしました。
「考える会」の活動を通して、親が不登校を理解するにつれ、子どもは落ちつきと元気を取り戻し、「友だちがほしい」「いろんな経験をしてみたい」「もっと勉強したい」という声が増え始めました。
こうした成長への願いに応える形で生み出されたのが、東京シューレだった、というわけです。奥地は、22年の教職を辞し、会の親の方々の協力を得て、1985年に設立しました。
こうした居場所は時代が必要としていたと見え、一時は入会待ちが100人を越える状態になっていました。そこで広い場所を求め、91年、王子のビルに移転しました(現在の東京シューレ王子)。
また多くの子どもたちの声に応えて、94年には東京シューレ大田を開設(現在は閉室)、95年には東京シューレ新宿を開設しました。
また、家庭で育つ子への支援の必要性も感じ、「ホームエデュケーション」という考え方に立ち、93年にホームシューレの活動を開始しました。インターネットの普及を見越して、97年にはサイバーシューレの活動もはじめています。
1999年には、学歴の要らない自前の知的探求と表現の場、シューレ大学をオープンしました。
東京シューレは設立以来個人事業の形態を取って運営してきましたが、決定権を父母会が持ち、運営委員会で毎月財政を検討する形で進めてきました。
特定非営利活動促進法(NPO法)の制定を機に、特定非営利活動法人(NPO法人)を申請、99年度に都より法人認証を受けました。
現在はNPO法人として、多くの市民団体やNPO、財団・企業、そして行政と協同して、子どもが安心して成長できる社会を子どもと一緒に築くために、様々な活動を行っています。
2002年4月には、新宿シューレの移転先として、区から元出張所の施設を借り受けました。現在も東京シューレ新宿とシューレ大学が活用しています。
2015年1月現在、東京都北区NPO事務局・東京シューレ王子・ホームシューレ、新宿区若松の東京シューレ新宿・シューレ大学、千葉県流山市初石の東京シューレ流山の3拠点で活動しています。
東京シューレは、学校の外で広げてきた活動ですが、社会の中でフリースクールが位置づけられ、応援されるよう、取り組みを続けてきました。2003年には千葉県との協働事業として、流山市内にあった県立社会教育施設を活用したフリースクール「流山シューレ」をスタート(現在県協働の枠組みは終了し、初石駅前に拠点)。
さらに、教育特区制度を活用した私立中学の「東京シューレ葛飾中学校」実現にこぎ着けました。NPO法人が中心となって「学校法人東京シューレ学園」を設立、準備に約4年間かけて、2007年に開校したものです。
12年には、札幌自由が丘学園三和高等学校との連携によって、フリースクールに通いながら、ホームシューレのプログラムを活用しながら、高校卒業が目指せる「高校コース」も開設しています。
多様な学びが社会的に保障されるよう、他の団体と手を取り合って活動を展開しており、2014年9月には、安倍首相が東京シューレ王子に来訪しました。
西暦 | 出来事 |
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84 | 登校拒否を考える会が発足 |
85 | 東京シューレ オープン(東十条にて) |
90 | ○登校拒否を考える全国ネットワークが発足 |
※文部省「適応指導教室」事業を開始 | |
91 | 王子ビルに移転(現在の東京シューレ王子) |
92 | ※学校不適応対策調査研究協力者会議「登校拒否はどの子にも起こりうる」との認識を示す。 |
※文部省認識転換「学校外の施設」を「指導要録上出席扱いできる」と通達 | |
93 | ホームシューレ 活動開始 |
※小中学生の通所に、学割定期の適用が認められる | |
94 | 東京シューレ大田 オープン(08年閉室) |
95 | 東京シューレ新宿 オープン |
96 | 長野県聖高原にログハウス完成 |
97 | サイバーシューレ 活動開始 |
98 | ○『不登校新聞』創刊 |
99 | シューレ大学 オープン |
東京都よりNPO法人の認証を受ける | |
00 | NPO法人化 |
IDEC世界フリースクール大会 日本大会を開催 | |
01 | ○NPO法人フリースクール全国ネットワークが発足 |
02 | 新宿区から旧施設を借り受け、東京シューレ新宿が移転 |
03 | 「特区による学校づくり」検討を開始 |
03 | 千葉県との協働事業スタート(現在の柏の葉シューレ) |
05 | 文部科学省から事業委託を受ける(ライブシューレなど) |
05 | 学校設立実現に向けて本格化(「東京シューレ学園設立発起人会準備会」設置など) |
07 | 教育特区による東京シューレ葛飾中学校が新小岩で開校 |
08 | ○フリースクール環境整備推進議員連盟が発足 東京シューレ「総合ホームページ」開設 |
09 | 「不登校の子ども権利宣言」を発表 |
10 | ホームシューレ『ばる〜ん』『メッセージ』200号に 「東京シューレ25周年祭」開催 |
11 | 東日本大震災、東京シューレも支援プロジェクトを実施 映像作品『不登校なう』・書籍『僕は僕でよかったんだ』出版 |
12 | フリースクール・ホームシューレの高校コースを設置 ○「多様な学び保障法を実現する会」発足 |
14 | 安倍首相、東京シューレ王子を来訪 |
○は関係団体の動き、※は行政の動き
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